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南相馬市の苦悩 - Japan Real Time - jp.WSJ.com

南相馬市の苦悩 - Japan Real Time - jp.WSJ.com

がれきの撤去作業をする自衛隊(2日、南相馬市)
福島県北部の南相馬市は春一色だ。日本家屋の上では小鳥がさえずり、小高い丘の上では桜が咲き誇っている。この風光明媚な風景、実は福島第1原発から19キロにある小浜地区だ。海岸線から500メートルのこの地域は、津波で壊滅的な被害を受けた。水につかった布団やむき出しの家屋の土台などがおよそ2か月前までここで人が生活をしていたことを示す唯一の痕跡だ。

「海岸線が3月12日に見た時より200メートル程侵食している」と話すのは、南相馬市で建設業を営む石川俊さん(50)。石川さんの祖父が50年以上前に建設に関わった堤防は、跡形なく破壊され、波が激しく打ち寄せる。

石川さんの経営する石川建設工業では、震災発生翌日から、南相馬市から委託され、福島第1原発から20キロ圏内の地域などで瓦礫の撤去作業に当たっている。自衛隊が遺体捜索などに従事したのは、3月末からで、それまでは石川建設のような民間企業が作業に当たっていたという。

「今日は波消しブロックに挟まっている遺体を発見した」と話す石川さん。その石川建設では、連日休みなく遺体捜索活動や瓦礫の撤去作業にあたっている。しかし、石川さんは、台風シーズンが到来する前に堤防を再建できるかどうかも、さらに全ての遺体を回収できるかどうかわからないという。そして何よりも石川さんが心配するのは、原発事故によってもたらされた経済的打撃で会社が存続できるかどうかだ。

「約70年前に祖父がこの会社を初めて以来、売り上げがゼロになった月は、この3月が初めてだ」と石川さんは話す。それでも、今のところ石川建設では、石川さんを含め29人いる従業員を1人も解雇していない。

桜井勝延南相馬市長のYouTubeビデオメッセージから一ヶ月以上たった今、南相馬市には、支援物資が送られ、多くのボランティアが地元支援に当たっている。しかし、屋内待避地域や、緊急時避難準備区域、計画的避難区域など、変化する政府の避難指示や後手後手の対応は、街の再建を目指す南相馬市の大きな足かせとなっている。

南相馬市原町区では、津波による被害はほぼ免れた。同区にある石川建設でも社屋は無傷で、従業員も全員無事だった。しかし、3月に予定されていた入札も震災の影響で中止され、さらに、政府による屋内待避の指示により、建設業は殆ど仕事ができなかった。

先月22日に屋内待避が解除され緊急時避難準備区域に切り替わった後も、政府は、屋外作業に当たる場合、どのような服装をして作業に当たればいいのかなど安全基準を示していない。そのため石川さんは、屋外作業に危険性はないのか不安だという。

「30キロ圏内だからといって、地震や津波の被害を免れ、地盤もしっかりしている原町区に仮設住宅を建てられないのはおかしい。政府に見捨てられているような気がする」と石川さんは話す。

南相馬の多くの住人は、20キロ圏内・30キロ圏内といった一律胴心円で区切られた避難基準は、各地域の放射線レベルを反映していないとして、政府の基準を疑問視している。例えば、30キロ圏内の原町区では場所によっては、30キロ圏外で計画的避難地域となっている飯舘村より放射線ベルは低い。さらに、放射線レベルは連日低下しており、事実上経済活動を再開するには問題はないと多くの住民は話す。

こうした中、街を立て直そうと、7万人の住民の半分が現在南相馬に戻ってきている。林有美恵さん(37)はその一人だ。

「震災以降、政府が全てを公表していないのではないかと疑っている」と話す林さんの実家は原発から21キロ地点にある。元々は東京の出版者で働いていた林さんは、故郷に骨を埋めるつもりで去年、南相馬市に移り住んだ。南相馬市の鹿島歴史民俗資料館で市町村史の編集をしていた林さんだが、3月末に避難先の静岡県から帰る直前、解雇の通知をうけたという。地元を助けたい一心で今は、ボランティアとして働く林さんは、政府の避難基準が次から次へと変わるため、実際、南相馬に住み続けることがどれだけ安全なのか判断ができないという。

先月22日に政府が屋内待避から原町区の大半を緊急時避難準備区域に切り替えると、やっと郵便も届くようになった。さらに、震災以来営業を停止していた大型スーパーも先月末営業を再開するなど、街は徐々に通常を取り戻しつつある。

しかし、事業主の中には、従業員の多くがが避難してしまっているため、事業再開への道筋が付かない所もある。

「安全なのか安全でないのか、みんながノイローゼになっている。原町区に本当に住んでいいのかもわからない。お店を開けなければならないが、本当に避難している従業員を呼び戻しても安全なのかわからない」と原町区で北洋舎クリーニングを営む高橋美加子さん(63)は話す。北洋舎クリーニングでは、震災後、6つあった店舗での営業を停止し、4月下旬から本店で午後のみの営業を行っている。

「これから風向きも変わるし、国には本当のことを教えて欲しい。言葉遊びにもてあそばれているような気がする」と高橋さんは憤る。

東京電力の事故収束に向けた行程表によると、原子炉を安全な「冷温停止状態」に持って行くまでには少なくとも6〜9か月かかるという。この想定も、あくまでも今後順調にいった場合で、楽観的だという指摘も少なくない。けれども、石川さんの会社や南相馬の中小企業は6か月も待つことができないかもしれない。

「既に1億円を借りました。仕事のない状態が続けば、事実上倒産です」と石川さん。石川さんが更に頭を悩ませる理由は、県や市からの依頼で行っている瓦礫撤去作業に対して、未だ作業代金が支払われていないことだ。20キロ圏の作業などでは精神的苦痛も伴うため、従業員に危険手当を支払いたいと話す石川さんだが、当座の運転資金がないという。

また、現在、東京電力は、1世帯に対して、100万円の仮払い金を払うとしているが、原発事故の影響を受けた事業主に対する補償に関しては、何も決まっていない。また、この100万円の仮払金についても、最終的に被害額が算定された場合、足りなかった分については、追加で保証金が支払われるものの、算定額が100万円を下回る場合、戻入する可能性もあると東京電力の担当者は話す。

「政府は、もっときっちりと放射線レベルをモニターするべきで、南相馬市の全てが危険なわけではないと言うことをはっきり示すべきだ。そうすることが復興の第一歩につながる」と石川さんは語った。

記者: 三重綾子

原文はこちら≫

トピックス:福島原発事故≫
by lifecanvas2 | 2011-05-04 11:04 | 南相馬支援訪問記
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